私たちの支援で、患者さんが力を取り戻してくれたら
掲載号:2020年春夏Vol.14[東京版]

- 東京都 病院経営本部 都立墨東病院 / 医療ソーシャルワーカー
- 国際基督教大学 教養学部 アーツ・サイエンス学科 卒業
- 辻 愛季子さん
- 勤務先ホームページ:http://bokutoh-hp.metro.tokyo.jp
- 人を支援できる職業は何だろうと考えた
- Q.公務員を目指したきっかけは?大学2年次にサービス・ラーニングで活動したのがきっかけです。不登校やニート、精神的問題等を抱えた子どもたちの支援をしました。経済的な余裕がなく、こうした場所にたどり着けない人たちを支援できる職業は何だろうと考えたとき、公務員が思い浮かびました。
- 様々な背景を持つ人たちの、あらゆる相談にのること
- Q.仕事内容を教えてください私は東京都に就職し、現在は都立墨東病院で医療ソーシャルワーカーとして働いています。三次救急医療機関(救命救急センター)なので、運ばれてくるのは身元不明者からホームレス、虐待児、外国人など様々な背景を持つ人たちです。患者として受け入れた後のステップとして、今後の診療方法や療養先の確保、退院後の生活、経済面に至るまであらゆる相談にのるのが主な仕事になります。私が担当している患者は常に30人くらい。基本的には院内で仕事していますが、たとえば外国人患者の支援で一緒に入国管理局や区役所に付き添うこともあります。
- 力を取り戻していく姿を実感できた時
- Q.仕事のやりがいはどんなところ?私たちの支援で、これまで希望が見えなかった患者の表情が少しずつ変わり、力を取り戻していくのが実感できたときはとてもうれしいです。運ばれてくるのは自らSOSを発信できない人ばかり。まさに私が公務員を目指すきっかけになった“こうした場所にたどり着けない人たち”で、病院がその人たちを救える場だったとは、仕事をして初めて知りました。
- 多種多様な価値観を受け入れられる姿勢が大切
- Q.この仕事に必要なスキルや資格は?たいていの医療ソーシャルワーカーは、社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格を持っています。私は就職してから2回専門学校に入学し、働きながらどちらも取得しました。Q.この仕事に向いているのはどんな人?多種多様な価値観を受け入れられる姿勢、そして人の話を聞くことがつらくない人です。私が卒業したICUは、文系・理系を問わないリベラルアーツ教育が基本です。国籍も様々な学生が好きなことを学び、多言語が入り混じったキャンパス内は、それこそ多種多様な価値観であふれている。そうした環境に4年間身を置き、私は人の価値観が様々であることに慣れていました。自分と相手の価値が違っても、それを受け入れ、対話する姿勢を持っていたことが、私がこの仕事をやりやすい理由だと思います。
- 大学は、自分のいろいろな可能性を見つけられる、広げられる場所
- Q.高校生へメッセージをお願いします高校生の頃は専門学校、音大、大学と進路について幅広い選択肢を考えていました。その中でICUに一目ぼれし、思っていたこととは違うメジャーを選択して卒業。高校生の時には考えていなかった、違う仕事をしています。今、何がしたいか決まっていなくても大丈夫です。大学は、自分のいろいろな可能性を見つけられる、広げられる場所です。様々な人と出会い、幅広く学んで視野を広げてみてください!

辻さん流、普段の仕事をしているときの必須アイテム。

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